教育現場でChatGPTを利用する際の注意点とは

近年、人工知能(AI)の進化は目覚ましいものがあります。その中でも特に注目されているのが「ChatGPT」です。現在では、ChatGPTが教育現場のさまざまな場面で活用されており、導入を考えている先生方も多いと思います。

しかし、ChatGPTを教育現場で使う際には、ChatGPTの利点だけではなく、懸念点についても理解しなければいけません。

この記事では、ChatGPTの安全性と危険性、またプライバシーについて解説したいと思います。また、下に詳しく書きますが、ChatGPTを教育現場で使う際には保護者の同意が必要不可欠です。どのように保護者に同意を得るのか、実際の利用許諾書の例も示していますので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事はこんなひとにおすすめ
  • ChatGPTの安全性と危険性について知りたい人
  • ChatGPTとプライバシーの取り扱いについて知りたい人
  • 保護者へのChatGPTの利用許諾について知りたい人
目次

ChatGPTとは何か?

ChatGPT(チャットジーピーティー)は、人工知能(AI)を利用したチャットボットの一種です。OpenAIという組織が開発したもので、人間のように自然な会話をすることができます。この技術は、膨大なデータをもとに学習しており、さまざまな質問に答えたり、会話を楽しんだりすることができます。教育、エンターテイメント、ビジネスなど、多くの分野で活用されています。

ChatGPTの安全性について

安全性の確保

ChatGPTは、多くの安全対策が施されています。

まず、開発者はシステムが有害な情報や誤った情報を提供しないように設計しています。また、ユーザーが個人情報を入力しないように注意を促すガイドラインもあります。

詳しくはこちらの記事で説明しています。

とはいえ、完全に安全とは言い切れません。ユーザーは、チャットボットに個人情報を入力しないようにすることが重要です。例えば、名前住所電話番号クレジットカード情報などを入力するのは避けるべきです。

ChatGPTの危険性について

誤情報のリスク

ChatGPTは非常に多くの情報を私たちに届けてくれますが、そのすべてが正確であるとは限りません。特に、医療や法律など専門的な内容の場合、誤った情報が含まれる可能性があります。

そのため、専門家の意見を必ず確認することが必要です。ChatGPTを使う上で大切なことは、提供された情報を他の信頼できるソースで確認する習慣をもつことです。ネットの情報を鵜呑みにしない、データの整合性・信憑性を慎重に吟味するという意識を子どもたちにもたせましょう。

依存のリスク

ChatGPTは非常に便利なツールですが、依存しすぎると問題が生じる可能性があります。例えば、すべての問題をAIに頼ることで、自分で考える力が弱まることがあります。これはスマホの普及により、字が書けない人が増えたというのと似ているかもしれません。実際、教育現場においても、作文の宿題をChatGPTに書かせる子どもがいるなんてことが話題になりました。

また、チャットボットとの対話ばかりに時間が増えると、人とのコミュニケーションが減少することも懸念されます。

プライバシーについて

データの取り扱い

ChatGPTを利用する際、どのようなデータが収集され、どのように利用されるかについて理解しておくことが重要です。一般的に、チャットボットとのやり取りの記録はデータベース上に保存されます。このデータは、サービスの改善や安全性の向上に利用されることがありますが、プライバシー保護の観点から、必要最低限の情報だけを入力するようにしましょう。

プライバシー保護の方法

プライバシーを守るために、以下の点について生徒に十分説明したうえでChatGPTを活用しましょう。

  • 個人情報を入力しない
  • 不要な情報を提供しない
  • セッション終了後、必要がない場合には履歴を消去する
  • 信頼できるプラットフォームでのみ利用する

学校でChatGPT(生成AI)を使用する際のチェックリスト

次のチェックリストは、文部科学省から出された「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」(令和5年7月4日)の中で示された、各学校で生成AIを利用する際のチェックリストの参考例です。

生成AIの活用を考えている場合は、このチェックリストを活用してみてください。

□ ⽣成AIツールの利⽤規約を遵守しているか(年齢制限・保護者同意を遵守しているか)
□ 事前に、生成AIの性質やメリット・デメリット、情報の真偽を確かめるような使い方などに関する学習を実施  しているか
□ 教育活動の目的を達成するうえで効果的か否かで利用の適否を判断しているか
□ 個人情報やプライバシーに関する情報、機密情報を入力しないよう、十分な指導を行っているか
□ 著作権の侵害につながるような使い方をしないよう、十分な指導を行っているか
□ 生成AIに全てを委ねるのではなく最後は自己の判断や考えが必要であることについて、十分な指導を行っているか
□ Iを利用した成果物については、AIを利用した旨やAIからの引用をしている旨を明示するよう、十分な指導を行っているか
□ 読書感想文などを長期休業中の課題として課す場合には、AIによる生成物を自己の成果物として応募・提出することは不適切又は不正な行為であること、自分のためにならないことなどを十分に指導しているか。保護者に対しても、生成AIの不適切な使用が行われないよう、周知・理解をしているか。
□ 保護者の経済的負担に十分に配慮して生成AIツールを選択しているか。 

生徒の利用と保護者の承諾について

上にも書きましたが、教育現場におけるChatGPTの利用の際には、保護者の承諾が必要不可欠です。

OpenAI社の利用規約(2024年1月31日発効)には、以下のように示されています。

引用:OpenAI社の利用規約(2024年1月31日発効)

上の内容をまとめると、

  • ChatGPTの利用は13歳以上であること
  • もし利用者が18歳未満の場合は、親権者または法定後見人(=保護者)の許可を得る必要があること

ということになります。

教師が教材研究や日々の業務でChatGPTを利用する分には問題ありませんが、生徒がアカウントを作成し、ChatGPTを利用する場合には、保護者の承諾を得ることが求められています。そのため、実際に生徒に使用させる場合には、文書を配布し、署名をしたいただくなどの前準備が必要になります。

以下に、保護者への利用許諾書の一例を掲載します。各学校の状況に応じて適宜内容を変更し、活用していただければ幸いです。

保護者への利用許諾書の例

保護者の皆さまへ

ChatGPTの利用についてのお願い

 さて、私たちの学校では、最新の教育技術を取り入れるため、ChatGPTというAIチャットボットを利用した教育プログラムを導入することを検討しております。ChatGPTは、学習の補助や質問への迅速な回答など、多くの利点があります。しかしながら、AI技術を使用する上での懸念点も存在します。以下に、ChatGPTを使用する利点と懸念点、それに対する学校としての対応について説明いたしますので、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

【ChatGPTを使う利点】

・自己学習の促進

 ChatGPTは、生徒の疑問や質問に対して即座に回答を示してくれます。これにより、学習効率が向上し自己学習が促進されることが期待できます。

・生徒の興味関心の喚起

 ChatGPTは、さまざまなアイデアを提供してくれます。これらのアイデアは、生徒の好奇心や探求心を刺激し、学習意欲の向上が期待されます。

ChatGPTを使う上での懸念点とそれに対する学校としての対応

・情報の正確性

 ChatGPTはそのすべてが正確であるとは限りません。この問題については、生徒に対して提供された情報を他の手段でも調べることで内容の真偽を確認する習慣をもたせることを指導します。また、教師も生徒の学習内容を定期的に確認し、必要に応じてサポートをしていきます。

・プライバシーとデータ保護

 生徒がChatGPTを利用する際に、入力内容を誤ると、個人情報が流出してしまう可能性があります。この問題については、生徒のプライバシーを最優先に考え、個人情報の入力を避けるよう指導します。また、データの取り扱いに関しては厳格なガイドラインを設け、外部に漏洩しないよう適切な管理を行います。

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ChatGPTの利用承諾書

この利用承諾書に署名することにより、私は上記の事項を理解し、承諾します。

生徒氏名:_________________________

保護者氏名:_________________________

許諾書の内容は、「ChatGPT×教師の仕事」南部久貴 著(明治図書)を参考にしています。

その他、利点や懸念点としてあげられる例

【利点】

・学習の個別化

ChatGPTは、個々の学生のペースや理解度に合わせた回答を提供できます。これにより、各学生が自分のペースで学習を進めることができます。

・アクセスの容易さ

24時間いつでもアクセス可能であり、学校外でも学習のサポートを受けることができます。これは、学生が自宅でも学習を継続できることを意味します。

多言語対応

多くの言語に対応しているため、英語やその他の外国語の学習にも利用できます。

【懸念点】

・依存のリスク

懸念点:学生がChatGPTに依存しすぎることで、自ら考える力が低下する可能性があります。

対応:学校では、ChatGPTを補助的なツールとして位置付け、学生が自ら考え、解決する力を育む教育を推進します。また、定期的に学生の利用状況をモニタリングし、必要に応じて適切な指導を行います。

・過度な使用時間

懸念点:AIツールの使用が長時間にわたることで、学習バランスが崩れる可能性があります。

対応:学校は、適切な使用時間を設定し、学生がバランスの取れた学習生活を送るよう指導します。また、休憩や他の活動の重要性を強調し、全体的な健康を維持するためのアプローチを取ります。

まとめ

ChatGPTは非常に便利で多用途なツールですが、安全に利用するためにはいくつかの注意点があります。誤情報や依存のリスクを理解し、プライバシーを守るための対策を講じることが重要です。

また、保護者の方が安心して、生徒にChatGPTを利用させることができるように承諾書を作成するとともに、適切な指導を行うことが大切です。様々な懸念点もありますが、それ以上に良い点がたくさんあるのがChatGPTです。

ぜひ、教育現場で活用していってください!

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