ChatGPTとつくる授業 社会科編(ChatGPTと授業をつくる方法)

こんにちは。

いきなりですが、皆さんはどのように授業案を考えていますか?

教科書や指導書を読む人、インターネットで調べる人などやり方は様々あると思いますが、中には、

「授業案が全然思いつかない!」

「生徒が退屈していつも寝てしまう…」

「どこでどんな発問をすればいいかわからない!」

のような悩みを抱えている先生も多いと思います。

実際、私も1つの授業案を考えるのに平気で何時間もかかっていました(笑)

そこで今回は、「ChatGPTと授業をつくる方法」と題しまして、実際にChatGPTと会話しながら授業をつくる様子を見ていただければと思います。

少しでも先生方の力になれればと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。

目次

授業をつくる上で大切な二つの要素

授業をつくる上で、私は常にこの二つの要素を必ず考えるようにしています。

それは、

  • 本時の目標(最終的に生徒に何が身に付いてほしいか)」
  • 発問(本時の中で、生徒に考えてほしいところ、議論をしてほしいところはどこか)」

です。

個人的には、この二点さえ間違えなければ、たいてい授業はうまくいきます。逆に言えば、この二つがはっきりしていないと生徒は「今日の授業なにしたっけ?」と授業があいまいに感じてしまう原因になります。

もちろん、他にも大切な要素はありますが、まずはこの二点を考えるとことから始めていきましょう。

ChatGPTで授業全体の流れを考える

単元の設定

それでは、ここからChatGPTと授業案を作っていきましょう。

先ほど挙げた「授業をつくる上で大切な二つの要素」のうち、一つ目の「本時の目標」は基本的には学習指導要領などに記されていることが多いので、今回は省略します。

今回の単元は、「弥生時代の暮らしと邪馬台国(東京書籍)」の中の「弥生時代の始まり」にしたいと思います。

本来であれば教科書見開き1ページ分をやりたい所ですが、かなり長くなってしまいますので、今回は一つのテーマに絞っていきたいと思います。

授業全体の流れを会話形式で考える

それではさっそく、ChatGPTに質問していきましょう。

まず私は入力したプロンプト(ChatGPTに何かを質問する際入力する文章などのこと)は以下の通りです。

次の文章について、A,B,C,Dの4人の会話形式で表してください。


[弥生時代の始まり]
 紀元前4世紀ごろ,朝鮮半島から移り住んだ人々によって稲作が九州北部に伝えられ,やがて東北地方にまで広がりました。これらの地域の人々は、水田の近くにむらを造り,たて穴住居の近くには,ねずみや湿気を防ぐ高床倉庫を造って,収穫した稲を収めました。
 稲作とともに,大陸から青銅器や鉄器も伝わりました。銅鏡や銅鐸のほか,武器であった銅剣や銅矛も,日本では主に祭りのための宝物として使われました。青銅器よりかたい鉄器は,武器や工具,農具に用いられました。このころには,弥生土器という,やや高温で焼かれた,赤褐色の,薄手でかための土器も作られるようになりました。このため,この時代を弥生時代,このころの文化を弥生文化と呼びます。

(本文は東京書籍より引用)

まず私がしたことは、教科書の本文をもとに、授業の流れを4人の会話形式で出力してもらいました。

ちなみに[弥生時代の始まり]より先の文章ですが、東京書籍の場合は、おそらく教科書のテキストのデータをもらっているはずなのでそちらをご活用しました。

このプロンプトの結果出力された回答は次の通りです。

A: 弥生時代の始まりって、どういう感じだったのかな?

B: 紀元前4世紀ごろに、朝鮮半島から人々が移り住んできて、九州北部に稲作を伝えたんだよ。それがやがて東北地方にまで広がったんだ。

C: その人たちは、水田の近くにむらを造って、たて穴住居の近くには、ねずみや湿気を防ぐための高床倉庫を建てて、収穫した稲を収めていたんだね。

D: へぇ、稲作だけじゃなくて、大陸から青銅器や鉄器も伝わったんだよね。銅鏡や銅鐸、武器の銅剣や銅矛もあったけど、日本では主に祭りのための宝物として使われていたんだって。

A: そうなんだ。青銅器よりかたい鉄器は、武器や工具、農具に使われていたんだね。

B: うん、このころには弥生土器という、やや高温で焼かれた赤褐色の薄手でかための土器も作られるようになったんだよ。

C: だから、この時代を弥生時代と呼んで、このころの文化を弥生文化って言うんだね。

どうでしょうか。会話にはなっていますが、これでは生徒同士が話しているだけで、授業の会話ではないですよね。

なので、登場人物に役割を与えてみましょう

登場人物に役割を与える

次に入力したプロンプトは以下の通りです。

4人の登場人物に以下の役割を与えた上で、再度示してください。
A:中学校の社会科の教員
B,C,D:Aの生徒

4人の登場人物に、教師と生徒という役割を与えました。

その結果出力された回答は次の通りです。

A(教員): 今日は弥生時代の始まりについて学びましょう。紀元前4世紀ごろに朝鮮半島から移り住んだ人々によって、九州北部に何が伝えられたか知っている人はいますか?

B(生徒): えっと、稲作ですか?

A(教員): そうです、Bさん。その稲作が九州北部に伝わり、やがて東北地方にまで広がっていきました。

C(生徒): その人たちはどんな暮らしをしていたんですか?

A(教員): いい質問ですね、Cさん。彼らは水田の近くにむらを造り、たて穴住居の近くには、ねずみや湿気を防ぐために高床倉庫を建てて、収穫した稲を収めていました。

D(生徒): 稲作だけじゃなくて、大陸から何か他にも伝わったものがありますか?

A(教員): その通りです、Dさん。大陸からは青銅器や鉄器も伝わりました。例えば、銅鏡や銅鐸、銅剣や銅矛などです。これらは日本では主に祭りのための宝物として使われました。

B(生徒): 鉄器も使われていたんですね。どんな用途で使われていたんですか?

A(教員): 青銅器よりもかたい鉄器は、武器や工具、農具として使われました。

C(生徒): 弥生土器って何ですか?

A(教員): 弥生土器というのは、やや高温で焼かれた赤褐色の薄手でかための土器のことです。このため、この時代を弥生時代と呼び、このころの文化を弥生文化と言います。

どうですか?かなり本来の授業の内容に近づいたような気がします。

発問を考えさせる

ある程度授業の流れはできたので、さらにChatGPTと詰めていきましょう

次に考えるのは、この授業の「発問」です。

使いで入力したプロンプトは以下の通りです。

ChatGPTがもし優秀な教育者なら、最初に示した文章の中でどこの部分について生徒に考えさせたら議論が盛り上がると思いますか?またその際の発問の仕方も示してください。

今回のプロンプトのポイントは2つあります。

  1. 学習課題を示すChatGPTに「優秀な教育者」という役割を与える
  2. 「議論が盛り上がるか」という視点で、考えるべき内容と、それに対しての発問方法を示すよう指示

特に大事なのは、1つ目の「優秀な教育者」という役割を与えた点です。

これはChatGPTのプロンプトにおいて有名な「深津式プロンプト」というものですが、ChatGPTに役割を与えることで、より専門性の高い回答が得られるとするものです。

では、このプロンプトに対しての回答が次の通りです。

  1. 稲作の導入が社会に与えた影響について考えてみましょう。
    • 例えば、水田の造成と村落の形成がどのように関連していると思いますか?
    この問いかけは、生徒に稲作が導入されることで、水田が必要になり、それに伴って集落や村落が形成された可能性について考えさせます。生徒たちは、水田の建設が集団での協力や地域社会の結束を促進した可能性があるという点で意見を交換することができます。
  2. 青銅器や鉄器の導入が社会のどの部分に影響を与えたと思いますか?
    • 武器や工具の進化が、人々の生活や地域間の関係にどのような変化をもたらしたか考えてみてください。
    この問いかけは、生徒たちに青銅器や鉄器の技術が導入されたことで、生産性が向上し、それが経済や社会的階層の形成にどう寄与したのかを考察させます。また、武器の進化が地域間の力関係や文化交流にどのような影響を与えたかについても考えることができます。
  3. 弥生土器の技術が導入された理由について考えてみましょう。
    • この技術が、社会や経済の発展にどのような役割を果たしたと考えられますか?
    この質問は、生徒に弥生土器がどのようにして稲作社会の中で登場し、その後の社会や経済の発展にどう寄与したのかを考えさせます。また、技術革新がどのようにして社会全体の進展に貢献したのかを議論するきっかけにもなります。

どうでしょうか?一般的には、1つ目の「稲作」と2つ目の「金属器」についての発問は一般的にあるものですね。実際、東京書籍の今回の単元の学習課題は「稲作が始まって、社会はどのように変化したのでしょうか。」です。

個人的には、3つ目の「弥生土器」から「技術革新の社会全体における影響」を考えさせる点はなかなか面白い視点ではないかなと思いました。

もちろん実際には、授業全体の構成や授業時間の関係から全てを盛り込むことは厳しいかもしれません。

しかし、ChatGPTを使うことで、自分が思いつかなかった授業の流れや発問を考えてくれることもあるので、新しい視点で授業を考えることができるのではないでしょうか。

最後に 「会話形式」で授業を考える意味

今回、なぜ私が「会話形式」の出力をおすすめしているかというと、ここが新任(特に社会科)の先生が陥りやすい授業を防ぐためです。

その授業とは、「教師の一方的な授業のことです。

一昔前は「生徒主体の授業」というと目新しさもありましたが、現在はもはやそれが当たり前になりつつあります。しかし、今なお教師が一方的に知識を教える「教師主体の授業」は様々な場面で見受けられます。

かといって、文科省やさまざまな研修でお偉い先生方から言われるような、とにかく生徒が考えて、生徒同士が話し合いをし、教師はあくまでサポート役のような「生徒主体の授業」の授業をするというのもベテランの先生ならいざ知らず、新任の先生にはハードルが高いこともあります。

そのため、あくまで最初は「一方的な授業」にならないことを意識することろから始めてみてほしいのです。つまり、生徒と「会話」をして授業をしてほしいのです。それだけでも生徒は、主体的とまではいかないまでも、「授業に参加している」と感じてくれるのではないでしょうか。

先生たちは日々の校務に追われ、なかなか教材研究をする時間も取れないこともあると思います。ぜひそんなときこそ「ChatGPT」を活用してみてください!

それでは、よいSchool Lifeを!

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